■建物セグメンテーション画像から正規化した建物ポリゴンの生成 ■Transformerを用いた道路エリアの抽出及び道路中心線生成 ■Transformerを用いた衛星画像のAI判読
■家屋異動判読調査
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SAR画像のカラー再現・超解像化(2倍)
合成開口レーダー(SAR)は、昼夜を問わず雲を透過するなど天候に左右されずデータが収集できるレーダーです。災害時など迅速な情報収集が必要な場合において、 光学センサーと比較して即時にデータが取得できる利点があります。しかしセンサの特性として、光学系のセンサーと比較して可視化可能な画像に変換するには向いていません。 そこでオービタルネットでは、拡散モデルを用いてSAR画像から鮮明なカラー画像を取得する研究をはじめました。 SpaceNet(https://spacenet.ai/)が公開している、Capella Space社の0.5m解像度の合成開口レーダー(SAR)画像とMaxar社のWorldView-2衛星の0.5m光学電子(EO)画像を組み合わせたデータセットを使用しました。 画像の対象は、オランダのロッテルダムを中心としたエリアのため、このモデルを日本で使用するには、もうひと工夫必要になると思います。 まずは、全36,000枚の学習用画像のうち、5,000枚ほどで学習した結果をご紹介します。テストに使用した画像は学習用データセットから取り除いたもので、結果はGround Truthと比較できるようにしています。 カラー化、ノイズ除去、超解像化(2倍)をパイプライン処理しています。
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Sentinel-2 (10m解像度)Copernicus Sentinel Data超解像(×4)Sentinel-2 (10m解像度)Copernicus Sentinel Data超解像(×4)以下は、Sentinel-2(10m)の衛星画像、AIで生成した超解像画像(2.5m)とGround Truth(50cm)とを比較したものです。 25cmや50cm解像度の画像と比較すると小さな地物は確実には再現できていませんが、街並みや道路などはほぼ再現できていることが分かります。 時点の違いますので造成地など大規模な地物に違いがある場合があります。以下はGRUS(グルース)という国産の超小型衛星の地上分解能2.5mの画像を超解像化したサンプルです。 画像は有償ですが価格も比較的安価で今度の普及が見込まれます。 2.5mの解像度ですが、全体的にぼやけた感じがありますので、なんらかの画像処理を施す必要があるように思えます。 そこで超解像化を行うことによりより鮮明・高精細な画像になります。GRUS(2.5m解像度)©Axcelspace超解像(×4)GRUS(2.5m解像度)©Axcelspace超解像(×4)以下は、GRUS(2.5m)の衛星画像、AIが生成した超解像画像(約60cm)とGround Truth(25cm)とを比較したものです。 趙解像画像には若干のハルシネーションはあるものの、Ground Truthと比較してほぼ違和感なく生成されていることが分かります。 Ground Truthとしていますが比較画像と時点や季節などが違いますので参考程度にご覧いただければと思います。以下はWorldView-2で撮影されたTrueColor 50cm解像度の不可逆圧縮画像を4倍に超解像化した画像です。 不可逆圧縮特有のノイズを除去して鮮明になっていることがわかります。WorldView2(50m解像度:不可逆圧縮済)©Maxar Technologies超解像(×4)WorldView2(50m解像度:不可逆圧縮済)©Maxar Technologies超解像(×4)◆Youtubeのオービタルネットチャンネルより
(画像生成AIを用いた衛星画像・空中写真画像の超解像化ソリューション)
GRUSの衛星画像は、建物・道路などの地物が再現できるようになります。
WorldView-2の衛星画像は、超解像化によってAIによる建物・道路のマッピングが可能になります。
*1 人工知能(AI)が事実に基づかない誤った情報を生成する現象
*2 雲・雲影、ヘイズなどによる画質の劣化、オフナディア角による建物の傾きなどの影響を受けていない場合
以下の超解像画像はページの都合上、画像サイズを半分以下に縮小していることご了承ください。
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衛星画像(超解像化)に建物ポリゴンをオーバーレイ◆Youtubeのオービタルネットチャンネルより
(画像認識AIを用いた衛星画像・空中写真画像のオートマッピング・ソリューション)
オービタルネットでは、生成AI技術(Transformer)を用いた衛星画像の地物判読に取り組んでいます。 その中でインスタンス・セグメンテーションによる地物単位での検出と境界判定による地物マスクの生成を行います。 セグメンテーション・マスク画像から一つ一つの地物形状をポリゴンとして記録していき、GeoJSONやシェープファイル等へ出力します。 インスタンス・セグメンテーションを使用する理由は一棟一棟明確に抽出・処理できるとことにあります。 地上解像度25㎝のオルソ画像から建物形状を抽出するようモデルを最適化しているので、 地上解像度50㎝程度の衛星画像から建物形状を抽出する場合には、一旦解像度25㎝へと超解像化を行ってからセグメンテーションを実施します。 現在では衛星画像においても空中写真オルソに匹敵する精度で建物を抽出できるようになりました。
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建物形状の正規化・ポリゴン化(白図)
衛星画像を用いた建物オートマッピングの最終成果
WorldView-2など50㎝解像度の衛星画像からTransformerを使用して建物のセグメンテーション・マスク画像を生成して建物ポリゴンを作成することができます。 しかし、建物のマスク画像から直線的な形状や建物の角をシンプルにポリゴン化することは簡単ではありません。 既存のアルゴリズムや後処理でポリゴン形状を単純化することはできますが、それでも建物の形状をよりシンプルで自然な形状でポリゴン化することには限界があります。 そこで、オービタルネットでは、AI処理で生成した建物セグメンテーション・マスク画像から、建物の形状をよりシンプル且つ自然な形状でポリゴン化する建物正規化アルゴリズムを開発しました。 これで、衛星画像から綺麗な建物マップを作成することができるようになりました。
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セメンティック・セグメンテーションによって抽出した道路エリア(ポリゴン化)
取得元の空中写真にオーバーレイ表示道路中心線の生成
Transformerを用いて、空中写真からセメンティック・セグメンテーションにより道路エリアを抽出した例です。 建物よりも低解像の空中写真(50㎝解像度)から高精度で抽出できることが特徴です。また、道路ポリゴンから道路中心線を生成することも可能です。 しかし、道路や鉄道、歩道橋などによってブラインドになる部分は正しく抽出できない(していない)ため正確な道路ネットワーク情報を取得することはできませんが、 最新の画像を使用することによって差分により最新の道路エリアを取得することが可能です。
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駐車場(衛星画像:50㎝解像度)
ソーラーパネル(衛星画像:50㎝解像度)道路中心線(衛星画像:50㎝解像度)
ChatGPTをはじめとするLLM(大規模言語モデル)の生成AIは私たちの生活に浸透し、様々なビジネスにおいてもパラダイムシフトが起き始めています。 その生成AIの核となっているのは『Transformer』というネットワークモデルです。 自然言語処理に限らず、画像解析の分野においても『Transformer』を使ったAIが競うように登場し、日進月歩の勢いで技術革新が起こっています。 オービタルネットのこの潮流に乗って衛星画像・空中写真画像の地物抽出に『Transformer』を使用したAIシステムを構築しました。 従来のCNN(畳み込み)技術と比較して、地物検出及びセグメンテーションの精度向上を図ることができました。